第1回 2000年12月15日
ツァイスと猫ちゃんの館〜Gentle Rain〜  (CAT'S PHOTO GALLERY)
HPはこちら


 第1回目に紹介するのは、私の猫写真仲間の鈴木さんのページです。彼のHPはタイトル通り、カールツァイスレンズで撮った、野良猫たちの写真館。そして猫の写真館のタイトルは
We live』僕たちは生きている・・・・。

 私は彼のサイトに行くたび、涙なしでは帰れない。先日もずっと写真を見て涙が止まらなかった。

 熱いものが胸に込み上げてきて、叫びたくなる。彼の写真にも私と同じく、短いコメントがつけられています。一度きりの野良猫の写真ではなく、何度も同じ場所に通い、同じ猫を追い続けた、ある種猫のドキュメンタリー写真です。

 最近アップされた、ページ『She's A Comet 2 』には、久美子と名付けられたメスの黒猫と、その子供たちの様子が日を追って、写真で綴られる。
そして、『Hot fun in a summertime』というページでも、駐車場に住むチビという雌の野良猫が初めて産んだ子猫たちの成長の過程とその結末が、細かく綴られている。

 ここで、共通する彼の写真。今まで、毎日のように可愛がって見守ってきた子猫がある日突然不慮の事故に遭い、天国へ旅立ってしまうのだけど、その最後の姿、帰らぬ姿まで写真に収めていること。

 私も飼っている最愛の猫、ユキが野良猫だった頃、棲家だった駐車場にユキたち兄弟4匹に毎日餌を運んでいた。ある日、いつものように駐車場へ行き、彼らを呼ぶと、一匹だけ出て来なかった。おかしい、探してみると駐車場の傍らの道でその子は横たわっていた。もう2度と目をあけることはなかった。。私には撮れなかった。最後の彼女の姿。泣きながら家へ連れて帰ってお墓を作ってあげた。それしかできなかった。

 でも、彼は冷静に事を受けとめ、姿があるから、、未練があるから、亡骸を写真に撮ったと言う。でも、その写真があるからこそ、彼が写真を通して伝えたいものが鮮明に私には伝わってきた。そして、彼が描こうとしている猫の姿が、『WE LIVE』であるとするなら、その最後の生き様を描くのは不思議ではなく、必然のことなのだ。

 街の野良猫達。人間とうまく共生しているように見えて、実は過酷な生き方を強いられている。街には空き地も少なく、猫が住めるような所は少ない。でも、人がいる限り、猫は捨てられる。そして、繁殖していってしまう。。コンクリートの街の中、糞尿を土に隠さなければいけない彼らの習性のために、今は民家の庭だけに僅かに残された土で、糞尿をすれば石を投げられたり足を切られたりと虐待を受ける。野良猫が増えていくのも、人間の不始末の結果に過ぎないはずなのに。彼らには何の罪もないのに…。

 そんな中で、彼らが住める場所、それは駐車場と公園だ。うちのユキも何を隠そう駐車場で幼い頃過ごしてきた。何故、駐車場がいいのか。それは、車の下は安全な隠れ場所であり、また冬の寒い日は、エンジンで暖まり、車の下は快適な場所となり、真夏は暑い日差しを車の下で避けられる。。でも、それは大人の猫に限ってだけであって、子猫には正反対のものになる。つまり、もっとも危険な場所だということ。子猫は小さくエンジンの中に入ってしまったり、車のタイヤの下に隠れていることが多く、車が動いてもとっさに逃げられないらしい。鈴木さんは、何匹も駐車場で圧死した子猫たちと出会っている。それが人為的なものなのか、ただの交通事故かは定かではない、と鈴木さんは言っている。

 車というものが恐ろしい凶器となるということ..だ。そして、今の車は技術が発達し、最近の国産車は、雲の上に乗っているような乗り心地なので、子猫はおろか人間の大人を踏ん付けても気がかない人が多いらしい。運転者は知っているのだろうか。借りている駐車場で鼻歌交じりで、エンジンをふかした後、自分の手によって、猫の家族の営みを崩壊させていることを。尊い命を一瞬にして奪っていることを。そして、それを見守り涙している人間がいることを。

 鈴木さんの写真には猫の家族愛までもが、細かく描写されていて心を打つ。そして、美しいまでの猫の表情、喜怒哀楽まで描かれている。私が彼の写真を好きなところの一つである。。鈴木さんの描く猫の家族愛は美しい。最近人の我が子虐待死のニュースが頻繁に流れる中、動物のほうがよっぽどましだと思う時がある。最近のニュースで、子殺しの母親の供述に戦慄を覚える。『母親より、女を選んだ…』。人は知恵があるからこそ、大切なものも失ってしまうのでしょうか。そして、明日に向かって生きている猫たちの美しく気高い瞳の描写は、彼独自の表現方法でもあり、また心を打つところである。
 
広い駐車場に車を借りている方、発車する前に子猫の存在を確認してください。お願いします.....

 野良猫に限らず、車によって命を落としていく動物の数は後を絶たない。
そもそも、野生動物の生息地に道路を作っているから事故が起きる。。車があることにより、人の生活は便利なものになったはずだが、それによって、車で今まで未踏の地にも人が入りこめるようになり、排気ガスや人の参入による自然破壊が進んでいるのも事実です。考えてみると,車社会の歴史はまだ100年。それまでは、人類は歩いたり、馬などの動物に乗って移動していた。車がなくても生きてきた。クーラーがなくても、生きて来れた。現代社会、便利になり楽することができるようになった。ただ、それはきわめて人間中心の社会になってしまったのである。地球は人間だけのものではないはずなのに。

 私は21世紀は、人と、自然または動物との共生の時代でなければならないと思っている。共生できなければ、人類は滅亡するだろう。駐車場での子猫の悲劇。それは小さなことではない。人間だって、毎年全国で交通事故で亡くなっている人が一体何人いるのか。科学技術は進歩し、私たちは快適な生活を得られた。でもその一方、音をたてて、何か大切なものが崩れ去っている気がしてならない。
 動物も同じ地球に住む仲間。共に慈しみあい守りながら、生きていくのが本当ではないでしょうか。そして、人も自然のサークルの中でしか生きられない動物だと思う。人も自然も動物も、それぞれ相互に微妙な生態バランスを保って生きているんだと思う。そのバランスが崩れ始めている。

 野良猫も安全に住めない街。人間だけが快適に住める街。それは何かがおかしい。

 21世紀を目前に、鈴木さんのサイトでいろいろ考えさせられる。街の片隅で懸命に生きている野良猫たち。そしてそれを痛いほど、美しくそして事実ありのまま隠さずストレートに表現している。その猫たち姿はまさに、『WE LIVE』。猫たちの生き様だ。いろんな厳しい試練を乗り越え、まっすぐ明日を見つめるその力強い瞳、姿はあなたにはどう写るでしょうか。街中で懸命に生きているたくさんの命。そんな命の存在を忘れて欲しくない。
 私にとって、ただ可愛いだけの-猫写真館-ではない。

 是非彼のサイトへ訪問して、何かを感じていただけたら嬉しい。ANN